RecoReno 築38年戸建再生記

京都の小さな築38年戸建をフルリノベーションした記録

The Record of Renovation

ケンチクシ。ケンチクカ。

先月のフローリングショールーム見学の後、建築士のTさんと2人で昼飯を食べていた時の話。(妻は仕事があり離脱)

 

サグラダファミリア聖堂の天井

家の打ち合わせついでに雑談する中で、「建築家と建築士の違いって何なの?」という話題になりました。

 

Tさんは、名刺やWebサイトの肩書に「建築」ではなく「建築」と書いています。私は「設計事務所を構えている人=建築家」っていう勝手なイメージを持っていましたが、色々な設計事務所の情報を見る感じそうでもなさそうで。そもそも両者の違いって何なんだろうと気になったのです。

 

建築士」の定義は明確

※以降、カギ括弧内のセリフは全部Tさん発言です。

「まず、建築士は国家資格です。これが無いと建物の設計監理を行う事ができないです。」

 

そうか、建築士は肩書である以前に資格なんですよね。私の父も建築士なのですが、実家の和室に一級建築士証書を額に入れて飾っていた記憶があります。

ちなみに、一級と二級は取り扱う建物に違いがあるだけで、一般住宅においては業務内容の差は無いそうです。これらの他にも、木造建築士・構造設計建築士・設備設計建築士など分野に応じた資格も存在します。

 

「逆に、建築家を名乗るのに特別な資格は必要ありません。仮に建築士免許を持たない建築家でも、他の有資格者が実務を行うなら、合法的に建築を請け負う事は可能です。」

 

なるほど。
周りが認めるかどうかは別にして、名乗ってしまえば建築家なんですね。

 

「ところで日本初の一級建築士って誰だと思いますか?超有名人です。」

 

答えは、田中角栄元首相。

正確には、田中角栄氏は一級建築士合格第1号なのですが、合格証を得てから登録申請するまでに間があったので、登録番号自体は16989号だそうですよ。記念すべき1号は渋江菊蔵さんという方。

 

そんな業界ネタも飛び交い、建築トークは思いの他盛り上がりました。

 

「建築家」を名乗らない理由

「建築家と聞くと、ちょっと敷居が高い感じがしませんか?私としては、小さな事でも何でも相談して欲しいのに、施主さんが遠慮して思った事を言えなくなっちゃうと困るんです。」

 

確かに、建築家はアーティストに近いイメージもありますね。私の場合も、話しやすいTさん相手だから、アレコレと要望や提案をぶつける事ができたのかもしれません。

いや、あくまでこれはイメージの話で、実際は住まい手の事を考えた家づくりに向き合っておられる建築家の方々ばかりだと思いますけど。

 

一方で、建築家の作家性に惚れ込み「まるっとお任せしたい!」というケースもあるでしょう。私の職場の先輩(マンションリノベ経験者)も、「機能性とか利便性はどうでもいいから、自分が好きと思える空間で暮らしたい。」という割り切った価値観でした。それはそれでアリですね。

 

呼び名の難しさ 

「実は、建築士という言葉にも少し気が引けてて…何か他に良い呼び名ないかなーっていつも思っていて。だから僕はいつも”ケンチクをやっています”と自己紹介するんですよね。」

 

詳しく聞くと、工事現場など外部の人達とやり取りする際、「先生」と呼ばれるのがちょっと嫌なんだとか。「いや別に偉くないから…」って。そういえばフローリングショールームの方も、Tさんの事をそう呼んでいました。

 

大学卒業したての若者に対しても「先生」と呼ぶ事があるようです。まぁ、他に呼び方を考えるのも面倒だから慣習として呼んでるだけだと思いますが。お医者さんとかも似た感じですね。

でも、中には「自分が偉いんだ」と勘違いしてしまう人もいたりして、それが先生呼ばわりを遠慮したい理由の一つなんだそうです。

 

映画『みんなのいえ』で唐沢寿明演じる若いデザイナーの先生も、すんごい偉そうなキャラでした。現場の大工さんと度々ぶつかったりしてね…あんなステレオタイプな人、現実にそうそういないと思いますが(笑)

youtu.be

 

本質はその人自身

しかし取引先の関係ならいざ知らず、施主の私にとってはあまり関係ありません。別に肩書だけを見てTさんに設計を依頼した訳ではないのだから。

きっかけは何気ない縁でしたが、家の相談に乗ってもらう中で相性の良さを実感し、何よりもTさんの作ってきた建築に魅力を感じたからこそ、それなりに高いお金を払ってリノベーションをお願いする事に決めたんですよね。

 

私の仕事においても同様で、例えば「ディレクター」と呼ばれる人達の中でもスキルやセンスはピンキリだし、一年目の若手がそこらの中堅スタッフより全然上手いなんてザラです。結局は色眼鏡無しでフラットに「人」を見るしかないです。(もちろん、学歴とかと同じく判断基準の一つにはなると思います。)

 

少なくとも今のところは、Tさんを選んだ私の目は間違っていなかったと思ってますし、家が完成してそれが確信に変わる日が待ち遠しいです。